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【現役エンジニアが解説】「SIerはやめとけ」と言われる理由と現実

SIerはやめとけ
  • 「SIerやめとけといわれる理由を知りたい」
  • 「良いSIerの見分け方を知りたい」
  • 「自分がSIerに向いているか知りたい」
  • 「SIerの将来性や年収、キャリアップをする方法を知りたい」
  • 「SIerを辞めたい。円満退職できる方法を知りたい」

そんな方に向け、SIerのリアルを解説します。SIerに就職したい、SIerとして今後キャリアアップしたい、SIerを辞め他の職種に転職したい、色々な方がいらっしゃると思います。

この記事を読めばSIerのホントがわかり、自分に合ったキャリアを選択できるようになります。わかりやすく解説しますので、お時間あるときにお読みください。

この記事の簡単なまとめ
SIer
メリット
  • 比較的給与水準が高い
  • 開発チームのリーダー・責任者になれる
  • マネージメント能力が磨ける
  • 社会貢献度が高い
  • 自社製品を開発できる
デメリット
  • スキルアップできない
  • 文系出身者にはハードルが高い
  • 下請けは元請けSIerよりも給与水準が低い
  • 自社製品が無いと自転車操業も
  • 客先常駐がある
SIerでキャリアアップをしたい方へ

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目次

SIerとは?簡単に説明

はじめに、SIerとは何かについてご説明します。

SIerとは…
  • 「システムインテグレーター」の略
  • システム開発を専門に行う企業
  • SESとは異なる

SIerとは造語で、「システムインテグレーター」の略です。システム開発を専門に行う企業のことを指します。開発するシステムは多岐に渡り、大規模・長期間のプロジェクトから小規模・短期間のものまで様々です。

大規模システムの例
  • 〇〇省の利用者管理システム
  • 〇〇銀行でデータベースシステム構築
  • 〇〇航空の管制システム
小規模システムの例
  • スマホ新機種のプリインストールアプリ
  • テレビ用ミドルウェアの機能追加
  • 企業の営業管理システム

このように、企業・行政機関から依頼を受けてシステムの開発を行います。「開発サービス」の対価として報酬を得ます。関連業種としてSES(システムエンジニアリングサービス)がありますが、SIerとSESはビジネスモデルが異なります。

SIerが「開発サービス」の対価として報酬を得るのに対し、SESは「システムエンジニア派遣サービス」の対価として報酬を得ます。

また、実際の開発現場ではSIerのエンジニアがSESのエンジニアを統率し、開発業務にあたります。

SIerの3つの系統

SIer企業は、その成り立ちから3つの系統に分けられます。

  1. 電機メーカー等の開発部署が独立して法人化した(メーカー系)
  2. 一般企業の開発部署が独立して法人化した(ユーザー系)
  3. ソフトウェア開発企業として創業した(独立系)

メーカー系

一つ目の系統はSIer業界で「メーカー系」と呼ばれるもので、電機メーカー等の開発部署が独立して法人化した企業です。

例としては、西芝電機のスマホ開発部署が、売上増大により「㈱西芝モバイル」として法人化。親会社の西芝電機からの案件に加え、他社からのモバイル開発案件も受注するようになったというものがあります。

ユーザー系

二つ目の系統は一般企業の開発部署が独立して法人化した「ユーザー系」と呼ばれるものです。

例としては、レストラン大手「ロイヤルガスト」の開発部門が「㈱RGフードシステム」として法人化 。それまで自社向けに開発していた注文・売上システムを他社店舗にも導入するようになったというものがあります。

独立系

三つ目の系統はソフトウェア開発企業として創業した「独立系」と呼ばれるものです。

IT企業のシステムエンジニアが退社し、ベンチャー企業を創業。自社製ミドルウェアを武器に業務向けシステムを開発といった例があります。

系統は業界再編により変化

SIerへの就職・転職を希望する方の中には、「メーカー・ユーザー・独立系どこが良いの?」と疑問に思われる方も多いかと思います。しかし、系統は業界再編により変化することがあります。

(例1)独立系SIerがメーカーになるケース

大手電機メーカーが自動車分野に参入するために、自動車分野に強い独立系SIer〇〇を買収。

(例2)メーカー系SIerが再統合され、メーカーになるケース

前述の「RGフードシステム」が親会社「ロイヤルガスト」に再編入される。

(例3)ユーザー系SIer数社が合併し、独立系SIerになるケース

ユーザー系SIer(A)と(B)がシナジー効果を狙い、独立系SIer(C)として合併。

これらは悪いことではありません。むしろ、企業の生き残り・業績アップのために必要な施策と言えます。

ですので、就職した企業の「〇〇系」は数年~5年先には変わるかもしれない、と動向を注視しておくと良いかもしれません。

このように業界再編を頭に入れつつ、日々スキルアップをすることが大切です。基本的に、再編されたからといって業務内容まで変わることはありません。新しい所属先でも、それまでの延長線上の業務ができることがほとんどです。

また、「親会社からの案件だから納期が緩やか」や「独立系だから待遇が悪い」といったことはありません。

どこのSIerでも納期はきちんと守りますし、どのSIerも福利厚生など社員の健康には気を使っています。ですので、自分に合った企業選びが大切です。

SIerはやめとけと言われる理由(デメリット)

ここからは、「SIerやめとけ」と言われる理由を解説します。やめとけの主な理由は5つです。

  • スキルアップできない
  • 文系出身者にはハードルが高い
  • 下請けSIerは元請けSIerよりも給与水準が低い
  • 自社製品が無いと自転車操業
  • 客先常駐がある

スキルアップできない

冒頭で少し触れましたが、SIerエンジニアはSESの管理責任者として業務にあたります。また、プロジェクトの進捗・品質管理、顧客対応とマネージメント業務をする必要があります。

このため、開発業務(設計・プログラミング)に専念できず、プログラミング好きな人がSIerに就職するとミスマッチが起こる場合があります。

また、管理業務・マネージメント業務は非常に責任の重い仕事です。プレッシャーが大きな負担と感じる人も少なくありません。

文系出身者にはハードルが高い

大規模な開発では、以下のようなピラミッド構造になることがあります。

  • クライアントから直接依頼を受ける「元請けSIer」
  • 元請けから依頼を受ける「二次請けSIer」
  • その下に三次請けSIer、SES

上位のエンジニアは管理する立場ですから、より高度なスキルと知識が求められます。特に元請けSIerでは、理系の知識や高い教養がないと理解できないケースが多くあります。

そのため、文系出身者が元請けSIerで働くのは厳しいのが現実です。入社できたとしても、理数系のスペシャリストに囲まれて働くことになります。

ただし、二次請け・三次請けSIerであれば活躍している文系出身者は数多く存在します。自分の得意分野を見つけスキルアップすることは充分可能です。

下請けは元請けSIerよりも給与水準が低い

これは当たり前のことですが、下請けSIerが元請けSIerより高給になることはありません。

ただし、元請け・下請けは案件により入れ替わることもあります。下請けはずっと下請けということはなく、元請けとして案件を受注することもあります。元請け案件が増えれば受注単価が上がるため、業績は成長します。

自社製品が無いと自転車操業も

自社製品(ソフト・サービス)が無いと、毎年・毎月新規案件を受注しなければ経営が成り立ちません。そのため、自社製品を持つSIerに比べ経営は不安定になりがちです。また、他社SIerと価格競争になり、受注単価が上げにくくなります。

自社製品があると、まず顧客に製品を購入してもらえます。その後もカスタマイズや保守・運用で、継続的に売上を上げることができ売上を確保できます。入社前に、自社製品の有無や導入実績などを確認しておくと良いでしょう。

客先常駐がある

SIerはクライアント企業のオフィスに常駐して開発をすることがあります。ただし全ての案件が客先常駐とは限らず、実際はケースバイケースです。

  • 案件ごとに事情は異なる
  • 情報漏えいを嫌い、常駐を嫌うクライアントもある
  • 自社か客先かは、業務効率と守秘義務で決まることが多い
  • 「設計開発は自社で行い、リリース後の保守作業だけ常駐」などのケースもある

実際の現場では、客先常駐だからといって不都合が起きることはありません。顧客側の社員と同じオフィスで、開発に専念できます。

SIerの魅力的な部分(メリット)

以上、SIerのデメリットを解説しましたが、メリットにもきちんと触れておきたいと思います。

  • IT業界の中では比較的給与水準が高い
  • 開発チームのリーダー・責任者になれる
  • マネージメント能力が磨ける
  • 社会貢献度が高い
  • 自社製品を開発できる

比較的給与水準が高い

IT業界は前述の通りピラミッド構造になっているため、SIerは給与水準が高くなります。クライアントから直接依頼を受ける割合が多いSIerほど、給与水準が高くなる傾向にあります。また、小規模SIerでも、ヒット商品を持つ企業は給与面も良い場合があります。

開発チームのリーダー・責任者になれる

開発業務の責任者・リーダーとしてスキルアップできます。ソフトウェア開発はプログラミングばかりではありません。業務の8割は要件定義や設計です。

これらの業務でもモノづくりの楽しさは味わえますし、多くの人員をまとめ上げるスキル・経験はどの企業においても高く評価されることでしょう。

マネージメント能力が磨ける

経営・管理業務を通し、マネージメント能力が磨けます。

  • 顧客対応
  • プロジェクトの計画・立案
  • 進捗管理・人材管理・品質管理

これらの業務を通し、開発部門の責任者としてキャリアアップできます。また、開発部門から管理部門、経営陣へと組織の中核を担うポジションを目指せます。

社会貢献度が高い

SIerは、社会貢献度の高いシステムを多く手がけます。そのシステムが無いと業界のサービスを維持できない、人々の生活に支障が出るなどSIerの社会貢献度は高まる一方です。

自社製品を開発できる

SESエンジニアは受注した案件のみに集中する義務がありますが、SIerエンジニアは担当プロジェクトと自社開発を兼任できます。そのため、いつでも自社製品開発のチャンスがあります。

自社開発は、エンジニアにとって大変やりがいのある仕事です。自分が作った製品が世の中で使用され、会社の売上も伸びる。モノづくりの喜びがダイレクトに感じられます。また、今は自社製品が無くても社内で提案し、これから新製品を作ることは十分可能です。

SIerが向いている人はこんな人

ここまではSIerの仕事内容について解説しました。では、どのような人がSIerに向いているのでしょうか?以下のような方はSIerへの就職がおすすめです。

  • 上昇志向が強い人(出世したい)
  • 上流工程が得意な人
  • 大きな社会貢献を望む人
  • 勉強もコミュニケーションもバランスよく出来る人
  • 好奇心旺盛な人

上昇志向が強い人

人の上に立ちたい、管理職や経営者に憧れがある人はSIerで活躍できます。エンジニアとしてのスキルをベースに、組織の中での出世を目指すのであればSIerは最適です。

理数系・エンジニア出身の経営者はIT業界に数多く存在します。SIerであれば開発現場にとらわれず、大きなフィールドでの活躍を目指せます。

上流工程が得意な人

「プログラミングより設計が好き」という人はSIerが最適です。顧客と一緒に最適なシステムを作り上げたい・物事を大局で考えるのが好き、という方はリーダーとして実力を発揮できます。

大きな社会貢献を望む人

電気ガスなどのインフラ構築、メガバンクのシステム開発など大規模開発のチャンスがあるのもSIerの魅力です。このような社会的影響の大きいプロジェクトは大変やりがいのあるものです。なかには5年以上かかるものもあり、自分のエンジニア人生を賭けた仕事ができます。

勉強もコミュニケーションもバランスよく出来る人

SIerでは新人のうちから管理業務を任されることがあります。顧客や協力会社(SESなど)との折衝、コミュニケーションは大事なスキルです。専門知識だけでなく、円滑なコミュニケーションが出来る人は重要な役割を任されるようになります。

好奇心旺盛な人

自社製品の開発には好奇心やアイディアが欠かせません。また、技術のトレンドは目まぐるしく変わります。そのような変化を楽しみ、新しい言語や分野にトライする人材はとても貴重です。どんなことにもチャレンジする姿勢は大切な能力です。

SIerが向いていない人はこんな人

次に、SIerに向いていない人についても解説します。これは良い悪いではなく、向き不向きです。ミスマッチがないよう、事前に自己分析しておきましょう。

  • 人づきあいが苦手な人
  • ずっと開発だけしたい人
  • 客先常駐が嫌いな人
  • 幅広い分野を経験したい人
  • 自由が好きな人

人づきあいが苦手な人

人づきあいが苦手な人はSIerに入ると苦労します。SIerでは大なり小なりリーダー的役割を任せられます。人に指示するのが苦痛、人間関係がストレスという方はSIer以外の選択肢を考えたほうが良いかもしれません。

ずっと開発だけしたい人

プログラミングが好き、一生現場で開発を続けたい、という方もSIer以外の職場をおすすめします。人の上に立つことに魅力を感じない、生涯エンジニアとして働きたい方は、SIer以外のほうが活躍できるチャンスが多いでしょう。

客先常駐が嫌いな人

SIerで客先常駐をゼロにすることはできません。顧客の要望が優先されます。実際、客先に常駐しても不都合はないのですが、「プライドが許さない」というエンジニアもいます。絶対に客先常駐をしたくない!という方は、営業・コンサル系に転向するのもおすすめです。

幅広い分野を経験したい人

専門分野を持たず、与えられた案件をきちんとこなすのが得意な方は、SES向きかもしれません。新しいアイディアや提案は苦手だけど開発は好き、という方は無理をしてSIerにいる必要はありません。

自由が好きな人

服装・髪型が自由、フレックスタイムで必要なときだけ出社したい、という方はSIerには不向きです。クライアントの多くは大企業・行政機関です。服装・マナー・モラルの遵守が必要です。

SIerになるには?

ここまで読んで、「SIerで働きたい」と思った方に向け、SIerの将来性と年収をご紹介します。

SIerの将来性

転職サイトdodaでは、2022年下半期のITエンジニアの求人数はアプリ、インフラともに増加の見込みで、「インフラ系エンジニアでも、社内SE、ITコンサルタント、SIer、SESにおいて、サーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティなどあらゆるジャンルで求人数は増加傾向にあります。」と予測されています。

また通産省が発表した「2025年の崖」の対策として、今後もDX化促進の傾向は加速すると思われます。

労働環境からみても、積極的にリモートワークが導入されており自由な働き方を選べるようになっています。自分に合った企業を探せるチャンスは拡大していると言って良いでしょう。

SIerの年収

次にSIerの年収について解説します。SIerでは、システムの種類や案件により開発言語が異なります。ですので、この記事ではSIerで需要の高い3言語別の平均年収をご紹介します。

言語平均年収
Python540万円
C#529万円
Java519万円

Python

2022年9月現在、TIOBE人気プログラミング言語ランキングで一位です。非常に汎用性の高い言語で様々なシステムの開発で採用されています。初心者にもわかりやすい文法で学習のしやすさも魅力です。

C#

Microsoftが作った言語で、WindowsアプリやWebアプリの開発でよく使用されます。処理速度が早いため、Web系の他の言語に比べ高速に動作させることができます。

Java

Python同様、汎用性が非常に高く、歴史も古い言語です。新旧問わずあらゆるシステムで使用されており、常に需要の高い言語です。

プログラミングスクールでプログラミング言語を習得しよう

プログラミング言語を習得するには、オンラインスクールの活用が効率的です。休日やスキマ時間を使って自分のペースで学習できます。

価格やサポート内容、難易度などスクールによってサービスは異なります。また、スクールごとに力を入れている言語も様々です。複数のスクールから、自分に合ったものを探しましょう。

プログラミングスクールの訴求

SIerでキャリアアップをしたい方へ

SIerでスキルアップを目指す方は、転職サイトを活用してください。実際に申し込まなくても、登録するだけで様々な情報を得ることができます。

  • 下請けSIerから元請けSIerにキャリアアップしたい
  • より専門性の高いSIer企業でスキルアップしたい
  • メーカー系SIerで働きたい

転職サイトごとに得意分野が異なります。また、企業と独自のパイプを持っているサイトもありますので、まずは複数のサイトに登録し比較してみると良いでしょう。

転職サイトの訴求

SIerを辞めたい方へ

もうSIerで働くのがつらい、という方もいらっしゃると思います。

  • プレッシャーがきつすぎる
  • 残業が多くプライベートの時間が取れない
  • 新しい知識の習得に限界を感じている

そのような方は、無理をせず別の働き方を模索しましょう。エンジニアのキャリアを活かし、別分野やコンサル系の仕事に転向することもできます。

ただし、職場によっては退職を言い出しづらいケースもあるかと思います。優秀な人材ほど引き止めにあい、なかなか辞められないものです。また、「一か月以上ある有給休暇をきちんと消化して辞めたい」など正当な権利を主張したい場合もあるかと思います。

そのような方には、退職代行サービスがおすすめです。会社側に言いにくいことも、専門業者があなたに代わり交渉を進めてくれます。是非一度相談してください。

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まとめ

今回はSIerやめとけの理由と、SIerのリアルについて解説しました。

  • SIerには良い点・悪い点両方ある。
  • プログラミング言語習得にはオンラインスクールがおすすめ
  • SIerでキャリアアップするなら転職サイトを活用しよう
  • SIerを辞めるときは、退職代行業者に相談しよう

SIerはエンジニアにとって、とても魅力的な環境です。しかし、ときには重圧に耐えかね逃げ出したくなるような状況も経験します。とにかく無理をしたり背伸びをしたりせず、あなたに合ったペースでキャリアを重ねていくことが大事です。あなただけの理想のエンジニアライフを実現してください。

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この記事を書いた人

デメリットからモノ・サービス・職業等を考える情報サイト「やめとけNOTE」です。

信頼できる情報ソースを元に、それぞれの専門知識、実務経験を有したライターが自身の経験を元にコンテンツを制作しています。

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