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【元DHが解説】歯科衛生士はやめとけと言われる理由とリアルな実態

歯科衛生士やめとけ

「やめとけ」と言われることも多い歯科衛生士の仕事。

「歯科衛生士はやめとけ」と言われる最も大きな理由は、デメリットばかりが目立っているからです。

しかし、歯科衛生士にはもちろんメリットもあり、全ての人に「やめとけ」という意見が当てはまるわけではありません。

この記事では、「歯科衛生士はやめとけ」と言われる理由を解説するとともに、歯科衛生士という仕事のメリットとデメリット、向いている人の特徴や将来性など、リアルな実態について元歯科衛生士が経験を元に解説します。

この記事の簡単なまとめ
歯科衛生士
メリット
  • 社会貢献ができる
  • 国家資格で長く生かせる可能性がある
  • 勤務体制に多少の融通が利く
  • 自分や家族の健康に繋がる
デメリット
  • 勤務先の90%は歯科医院
  • 休みが取りづらい
  • 人間関係の悩みが多い
  • 福利厚生が充実しているとは言えない
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歯科衛生士の仕事は、精神的に参ってしまうことも多い仕事です。

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目次

歯科衛生士とは?

歯科医院で働くスタッフには受付、歯科助手、歯科衛生士などがいます。一見、違いがわかりにくいかもしれませんが、それぞれ役割や仕事内容が異なります。

では歯科衛生士とはどのようなものなのでしょうか。歯科衛生士は「国家資格」が必要な職業です。

歯科衛生士法第1条で「歯科疾患の予防及び口腔衛生の向上を図る」ことを目的として、人々の歯・口腔の健康づくりをサポートする専門職と定められています。

主に虫歯・歯周病予防のための「歯科予防処置」、歯磨き指導などの「歯科保健指導」、そして歯科医師のアシスタントを行う「診療補助」​​といった内容の仕事を行います。どれも専門性の高い知識や技術が求められ、学校で学んだ後は国家試験に合格する必要があります。

歯科衛生士はやめとけと言われる理由(デメリット) 

歯科衛生士は求人数もありますが、離職率も高いと言える職業の一つでもあります。

歯科医療振興財団の事業報告によると、2019年2月時点の歯科衛生士名簿登録者数は29万1,910人です。それに対して、​​厚労省の令和2年衛生行政報告例では就業歯科衛生士の人数は14万2,760人​​と、ほぼ半数の人たちが資格を持ちながら離職しているということがわかります。その理由は何なのでしょうか。

勤務先の90%は歯科医院

歯科衛生士の就職先として一番多いのは、歯科医院です。厚生労働省のホームページにある「令和2年衛生行政報告例〔就業医療関係者〕の概況」によると、約90%の人が診療所つまり歯科医院に勤務しています。

医療法人という規模の歯科医院も増えていますが、厚生労働省の医療施設調査によると全体の77%を個人歯科医院が占めているのが現状です。

休みが取りづらい

個人歯科医院は、規模が小さく少数精鋭になる傾向が高くなります。そのため、有給休暇や突然の休みが取れない、あっても人員が足りておらず実際には取りにくい、などの問題が生じやすいと言えるでしょう。

また遅くまで診療しているところや、残業が発生する歯科医院に勤めていると、仕事が終わった後のプライベートな時間が確保しにくくなります。

人間関係の悩みが多い

人間関係や医院の方針・勤務内容に悩み退職する人が多いのも事実です。院長やスタッフと合わない場合、一日の長い時間をともに職場で過ごすことはストレスになります。特に少規模の歯科医院では、もし苦手な人がいたとしても、仕事を進める上でなるべく関わらないということはできません。

仕事内容は法律に定められてはいますが、勤務先によってその範囲やどこまでの知識・技術が必要とされてるかは大きく異なると言えるでしょう。求められるレベルに達していないと、関係性が上手くいかなくなってしまうこともあります。

さらに診療は「予約制」で進めている医院がほとんどで時間に追われがちになり、ピリピリしてしまいがちになります。

福利厚生が充実しているとは言えない

長く務める上で大事になる福利厚生に関しても、充実しているとは言い難いでしょう。医療法人など規模の大きい医院の場合は、厚生年金や産休育休をはじめとした福利厚生に力を入れ、様々な待遇を用意しているところもあります。しかしまだまだ少数です。ライフステージにより変化が大きい場合には、続けることが難しくなるケースもあるでしょう。

このように自分が希望していた仕事内容と違ったり、人間関係のストレスを感じやすい傾向が高いため、転職や退職を考える歯科衛生士が少なくないのが現状です。

歯科衛生士の魅力的な部分(メリット) 

先にデメリットを挙げましたが、もちろん歯科衛生士にも魅力的なところはたくさんあります。

社会貢献ができる

一番の魅力は、医療という仕事に携わり患者さまのお口の健康をサポートすることで、人の役に立ったり社会に貢献することができる点です。

痛みを抑えたり症状が改善される場に立ち会うことで、直接「ありがとう」という言葉をいただくシーンも多くあります。やりがいを感じたり、仕事をしていて良かったと思える瞬間でしょう。

国家資格で長く生かせる可能性がある

国家資格であるため、一度資格を取れば一生生かしていくこともできます。

医療は日々進歩していくため、常に勉強や新しい知識を取り入れていくことは欠かせませんが、自分次第で長く続けられる仕事です。ライフステージの変化に伴い一度退職をしたとしても、学び直すことは可能ですし、全国どこに行っても就職先があり比較的復職しやすい環境にあります。

勤務体制に多少の融通が利く

一昔前とは違い予防歯科が重要とされている現在は、歯科衛生士に求められる仕事内容も変わってきました。それに伴い働き方も変化し、仕事と家庭を両立できるパートタイムでの勤務をしながら患者さまを担当することもできるようになってきました。長く勤務した歯科医院など信頼関係の築けている場合には、子どもの都合を考慮した勤務時間やシフトに調整してもらえることもあります。

自分や家族の健康に繋がる

なかなか学ぶ機会のないお口について知識や技術を身に付けることにより、自分をはじめ周りの人の健康に役立てることができます。

歯科衛生士が向いている人はこんな人 

歯科衛生士は、次のような人に向いている可能性があります。

手に職を付けたい人

専門職や国家資格のある仕事に就きたい人は、選択肢の一つとして検討されると良いかもしれません。

手先が器用、コツコツやれる人

お口の中は狭く、歯も小さいため、細かい作業が多くなります。経験を積めば誰でも技術の向上は見込めますが、手先が器用な人は上達が早いでしょう。表向きは華やかなイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、陰でコツコツ積み重ねていくことが求められる意外と地味な一面もあります。

人の体に興味がある、学ぶことが好きな人

医療職のため、人の体に関心が高い人や学ぶことが好きな人には向いていると言えます。

自分で考えて行動できる、サポートが好きな人

指示がなくても、状況を察知して動く必要があります。また治療や予防をする上で、患者さまと向き合い良くするために何ができるのかなど、自分で考える機会も多いです。

人の気持ちを察する・コミュニケーションが得意な人

歯科医院が苦手な患者さまは少なくありません。不安を察して対応したり、コミュニケーションをしっかり取って治療の説明などをすることも大切です。さらにお口の健康のためには、患者さまの協力を得て意識を変えながら、健康へと導いていくことも歯科衛生士としての大事な役割と言えるでしょう。

歯科衛生士が向いていない人はこんな人 

次のようなことが苦手な人には、歯科衛生士はあまり向いていないかもしれません。

体力に自信がない、立ち仕事が苦手な人

専門職でほぼ予約制のため、時間通りに黙々と作業をするイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし実際は、立ったままや動きっぱなしになることも多く、体力が求められる仕事です。

デスクワークを求める方には向いていないでしょう。

細かい作業・臨機応変な対応が苦手な人

歯科というお口に特化した分野なだけに、細かい作業が求められます。また急患が来院した場合や処置内容の変更など、臨機応変な対応を求められる瞬間も日常的にあります。

学ぶことが嫌いな人

学校で学ぶことは基本中の基本で、実際に勤務しだしてから学ぶことの方が多いです。常に勉強するという姿勢は必要かもしれません。

言われたことしかやらない人

歯科はチーム医療のため、指示がないと動けない人にはあまり向いていないでしょう。

状況を察知して先回りしたり、自ら気が付いて行動することが求められる場面がたくさんあります。

空気が読めない人、人と接することが苦手な人

仕事を円滑にするため、一緒に働く同僚をはじめ患者さまとのコミュニケーションが大切な仕事です。人と話したり接することが苦手な人や、黙々と作業をしたい人には、働きにくい環境かもしれません。

歯科衛生士になるには?

歯科衛生士になるためには、3年制の専門学校や短大または4年制大学に通い一定の学問と技術を身に付け、国家試験に合格する必要があります。学校を卒業しても、国家試験に合格しなければ「歯科衛生士免許」は取得できず、歯科衛生士として働くことはできません。

まずは通学が可能な範囲に歯科衛生士養成の学校があるかどうか、調べることから始めるのをお勧めします。

歯科衛生士の将来性 

ここ10年くらいで、予防歯科の大切さが一般的に謳われるようになりました。世の中の人の予防への関心や意識も高くなってきています。

歯科衛生士の仕事には歯科医師のアシスタントもありますが、それが主ではありません。歯科医師が治療を行うのに対し、この「予防」を行うことが歯科衛生士本来の仕事です。そして一般的に若いスタッフが多いイメージの強い歯科医院ですが、ある程度経験を重ねた人や、子育てが一段落して復帰した人なども多くなっているのが現状です。

今後予防意識がさらに浸透し高まっていくであろう可能性を考えると、歯科衛生士はより必要とされていく職業と言えるでしょう。

歯科衛生士の年収 

上記の理由から、歯科衛生士の年収は一昔前よりアップしています。

厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると、歯科衛生士の平均年収は約386.7万円です。

スキルや経験・勤務形態、またどのようなところに勤務するかにより、月収の幅が大きくなります。

筆者が歯科衛生士になった20年前は月収20万年収300万前後〜の多い印象でしたが、現在は月収30万前後、年収400万前後のところが多くなっているように感じます。

そして働き方も多様になっており、歯科医院に勤務するだけではなく、フリーで活躍する方や起業する方も増えてきました。

中には月収60万、年収1000万近く稼ぐ方もいるようです。

歯科衛生士でキャリアアップをしたい方へ

歯科衛生士として働くというと、一番に歯科医院が思い浮かびますが、実は活躍できる場はそれだけではありません。もし歯科衛生士としてキャリアアップを望んでいるなら、道は開けているということです。

一つはより成長のできる歯科医院へ転職するという方法があります。より自分の希望に合ったところや、自分を活かせる場所を探してみましょう。

自分で就職活動をする場合、求人サイトを利用することが多いかもしれません。しかしいざ見学や面接に行ってみたら、募集要項に書いてある内容と違った、という経験をされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。また見学に行っても診療時間内で患者さま対応中のことも多く、どのような歯科医院なのかや細かい質問などは聞きにくかったり、聞くタイミングが無かったりしがちです。

少しでも理想に近い就職先に出会いたいのであれば、転職エージェントを利用してみるのも良いでしょう。スタッフの方が直接医院へ伺い、実際の様子を確認して話を聞いているため、事実と大きく異なるという事態も比較的少ないと思われます。

また多くの歯科医院を見ている立場のエージェントなら、あなたが考える理想の職場を見つけるヒントも得られるかもしれません。

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もう一つの方法は、歯科衛生士の資格を生かして他業種へ転職するという選択です。

他業種へ転職を考える際、歯科業界でしか働いて来なかった場合にはわからないことも多く、不安も大きいでしょう。その場合も転職エージェントで相談することで、安心して転職活動に望めるのではないでしょうか。第三者の目線で、自分では気が付いていない得意なことや活かせる面が見えてくることもあります。歯科関連企業や営業職、事務や介護職など、他業種に転職して以前より良い環境で働いている人もたくさんいます。

歯科衛生士をやめたい方へ

「頑張って見たけれど、ここの歯科医院ではもうやっていけない…やっぱり退職しよう」そう決意した時に、次に直面する問題は退職の切り出し方です。

スタッフが足りていないような医院では特に、退職したいとはなかなか言い出せないような雰囲気です。また人間関係が原因で退職を決めた場合は、上司にその意思を伝えること自体が難しい時もあります。中には辞めることが決まると態度が冷たくなるなど、今以上に居心地が悪くなってしまうケースもあるでしょう。そういった職場では、余計に退職を言い出せなくなってしまいます。

しかし、そのまま我慢していてもどんどん時間が過ぎていくだけです。ご存知の通り、歯科医院だけでもかなり数多くあります。きっと今いる所よりも自分に合った職場が他にあるはずだと思いませんか。そのような時は、第三者の力を借りるという方法もあります。退職代行会社を利用することも検討してみると良いかもしれません。

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まとめ

ここまで歯科衛生士の魅力や離職率の高い理由についてお話してきました。良い部分もたくさんある仕事ですが、医療職のため決して楽とは言えません。

またどこに就職するかによって、仕事内容や求められるレベル、居心地の良さなども大きく異なる業界です。就職先を決める際には、条件や雰囲気などだけではなく具体的な業務内容も確認し、自分に合っているかどうかを見極めることが非常に大切だと言えます。

そして歯科衛生士になる人は、一人で頑張ってしまうタイプの人も多いと思います。一人で抱え込んでしまい、気が付いた時には心が病んでしまったり、歯科衛生士が嫌になってしまうこともあるかもしれません。しかし歯科衛生士は人の役に立つことでやりがいを感じられる、とても素晴らしい職業です。自分に合った場所に出会うことで、より良い環境で活躍できる可能性は十分にあります。

一人で悩む前に、他の人の力を借りて転職を考えてみたり、退職の方向で話を進めてみたりしてみてください。この記事を現状の打開策のヒントにしていただけたら幸いです。

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この記事を書いた人

日本大学歯学部附属歯科衛生専門学校卒。2003年から2015年まで一般歯科医院、総合病院に勤務。チーフとして幅広い業務をこなす。
歯科衛生士専門誌への執筆経験、歯科衛生士ブランディングサイトGUNGUNへの掲載歴あり。

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