作業療法士は身体障害領域・精神障害領域・発達障害領域のリハビリテーションを行う仕事です。
病気や障害などで日常生活に困難さを抱えている方のために、今より日常生活が快適に送れるようリハビリテーションを行ったり、生活環境を整えたりして患者の機能の回復や維持、開発を促します。
そんな非常に社会的意義のある仕事ともいえる作業療法士ですが、「作業療法士はやめとけ」といった声を上げる方もいるようです。
そこで本記事では、元作業療法士の方に「作業療法士はやめとけ」と言われる理由と現実について、経験を元に執筆頂きました。
- 国家資格なので全国どこでも働ける
- 安定職で仕事がなくなることはない
- 患者を症状を改善させ、感謝された時の喜びは大きい
- 年収が低い
- 勉強し続けないといけない
- 人間関係で悩む人が多い
- 休みが少なく、力仕事なのでハード
- 「人の役に立ちたい」「感謝される事に喜びを感じる」という人に向いている職業
- 「人に興味がない」「ライフワークバランスを大事にしたい」という人には不向き
給料の低さで悩んでいる人は、思い切って大きな病院に転職するのがおすすめ。
給料が上がるのを待つより、ボーナスや昇給程度がしっかり整っている大病院に移動するだけでグンと年収アップが狙えます。
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作業療法士の仕事は、患者さん・患者さんの家族・先輩・上司と関わる人が多く、精神的に参ってしまうことも多い職です。
(厚生労働大臣許可番号:13-ユ-080554)(厚生労働大臣許可番号:13-ユ-080554)
きこ
国立大学卒の作業療法士。
発達障害領域で2歳から18歳のお子さんを対象に200名以上を担当。
出産を機に退職後、2児を出産し現在子育て中。
作業療法士はやめとけと言われる理由(デメリット)
「作業療法士はやめとけ」と言われてしまう理由を順番に解説していきます。
年収が低い
まず、一番の悩みとして作業療法士の平均年収は360万円と低めです。
生活できないわけではありませんが、相当切り詰めないと貯金や自分の趣味に回すお金は残りません。
就職先として個人病院を選ぶとボーナスがカットされたり、昇給しても年に1000円以下なんてところもあります。
(※もちろん大きな病院ならちゃんとボーナスや昇給が保証されているところはあります。)
勉強し続けないといけない
医療業界の情報は日々変わっていきます。
学生時代に習ったことが就職してから全く使えなかったということもしばしば。
常に新しい本や論文を読んで学ぶ、勉強会に参加する、講座を受ける、ケース検討(患者さんについての話し合い)をしないといけません。
勉強が必須にも拘わらず、勉強し続けても給料が上がるわけではありません。
営業職などであれば自分の頑張りが給料に反映されますが、作業療法士は自分が頑張ったところで昇給やボーナス制度が整った施設で働かない限り、給料が上がらないのが現実です。
自分の頑張りが給料に反映されないので、努力とリターンが釣り合っていないと考える作業療法士も多いです。
人間関係で悩む人が多い
体感にはなりますが、作業療法士はクセのある人が多く上司や先輩と合わずストレスを感じたり悩んだりする人が多いです。
また、作業療法に正解はないため、先輩の言うことが絶対となっている病院もあります。
自分の意見を言ったり病院の方針と違う作業療法プログラムを取り入れようとしたら怒られたなんて話もよく聞きます。
また、上司や先輩だけでなく、患者さんと合わない場合もストレスが大きいです。
患者さんと相性が悪い場合、患者さんからの拒否が出ることも。
せっかく頑張ろうと思っても患者さんから拒否されたりやる気がなかったりするとモチベーションが下がってしまいます。
休みが少ない
現在365日稼働している病院が増えています。
そのため、土日祝日は必ず休みという施設が全てではありません。
カレンダー通りの休みの人と比べ、年間の休日が20日以上少なくなってしまうことも。
また、病院によっては有休を思うようにとらせてもらえない場合もあり、まとまった休みがとれないことが多いです。
給料が低く休みが少ないと自分の生活の質はどんどん下がっていきます。
休日は仕事のために体力回復させようと寝るだけ、なるべくお金を使わないように家にこもりきりなんて言う人もいます。
他人の生活を良くしようとする一方で自分の生活の質が下がるようでは元も子もありませんよね。
力仕事なのでハード
作業療法は介護士さんのように力仕事も多い仕事です。
若いうちはいいですが、年齢を重ねていくごとに身体はどんどん辛くなっていきます。
実際現場で働いている人は若いスタッフが多く、高齢のスタッフはほとんど見かけません。
作業療法士の魅力的な部分(メリット)
「やめとけ」と言われてしまう解説しましたが、それでも作業療法士にも魅力的な部分はあります。こちらも順番に解説していきます。
国家資格なので全国どこでも働ける安定職
作業療法士は国家資格なので、全国どこでも一つの資格で働けるのは大きな強みです。
資格があれば再就職しやすい職業のため、パートナーの急な転勤で県外に行くことになったという場合でも、仕事を辞めてついていくハードルがかなり低いです。
また、作業療法士は給料が極端に上がったり下がったりすることはなく、常に安定した給料をもらうことができます。
これらの点から安定した職であるといえます。
少子高齢化もあり需要が多い
高齢者が増え続けているため需要が多く、病院がある限り作業療法士の仕事がなくなることはありません。
コロナ禍で様々な職の人が泣く泣く仕事を手放す中、医療職である作業療法士で働けなくなったという話は聞きませんでした。
感謝された時の喜びが大きい
人の人生に大きくかかわってくる仕事なので、担当していた患者さんが退院できた、以前より日常の動作がしやすくなった等で感謝された時の喜びは大きいです。
作業療法士が向いている人はこんな人
作業療法士に向いているタイプの人を順番に解説していきます。
人の役に立ちたい、感謝の言葉でやりがいを感じられる人
作業療法士は努力した分だけ給料が上がる仕事ではないので、努力して得られるのは「患者さんからの感謝の言葉」が主となります。
作業療法士は病気などが原因で障害が残った人に寄り添い手助けをするお仕事です。
そのため、作業療法士は「困っている人の役に立ちたい」「感謝されると嬉しい!それがやりがい」という人に向いていると言えます。
他人の人生について真剣に考えられる人
作業療法士は、入院患者さんの退院後の生活を考える仕事もあります。
退院後家に帰るのか、施設に入るのか、車いすを使うのか、歩行できる状態まで持っていくのか、家に帰ったらどうやって身の回りのことするのか?
ひとつひとつ細かく考えなくてはいけません。
他人のこれからの人生についてきちんと寄り添い、一生懸命考えられる人が求められます。
最新の治療法に興味が持てる人
どんどん新しい治療法が現れる医療現場の仕事なので、資格取得後も自分の知識をどんどんアップデートしていく必要があります。
したがって、作業療法の勉強をするのが純粋に楽しい、興味があるという人には最適な仕事の一つといえるでしょう。
コミュニケーションが好き/得意な人
患者さんをはじめ、患者さんの家族、上司、先輩、同期、後輩ととにかく人と関わることが多い仕事です。
誰かと話をしたり関わったりすることが好きな人は向いています。
休みが少なくても頑張れる人
病院によっては休みがカレンダー通りの職と比べてかなり少ないです。
大きな病院ではカレンダー通りの休みで定時上がりが出来るとこもあります。
しかし個人病院では土日祝出勤しても代休がなかったり、大きな病院と比べ年間休日が20日以上少ないところも。
少ない休みの中でも楽しめる人や休みが少なくても良いという人はむいています。
作業療法士が向いていない人はこんな人
作業療法はお勧めしない人を順番に紹介します。これらに該当する場合は「作業療法士はやめとけ」と言えるでしょう。
仕事の頑張りに対して報酬を上げてほしい人
営業職のように自分の頑張りに対して報酬が欲しいという人は作業療法士はむいていません。
営業成績のようにスタッフの頑張りを可視化するのが難しく、そういった制度を導入している病院もない為、仕事をさぼっている人も一生懸命勉強している人も基本的には給料は変わらないからです。
ただし大きな病院へ転職したりするなど、キャリアアップすれば収入自体は上げることが可能です。
ハードワークが苦痛な人
入院患者さんが多い、少ないなど時期にもよりますが基本作業療法の仕事はハードです。
ただでさえ休みが少ないことに加え、仕事のある日は残業が当たり前になっている職場も多いです。
仕事終わりに自分の時間が欲しい、何より自分の時間が大切という人には向きません。
また、とにかく身体を使う仕事なので、体力に自信がない人も苦労をすると思います。
常に勉強し続けるのが辛い人
医療は常に進化し続けていますので、自分の知識もアップデートしていかなくてはなりません。
もちろん勉強しなくても仕事自体はできますが、先輩や同期、後輩からは「仕事のできない人」と冷たい目で見られることになります。それだけでなく、そういった姿勢は患者さんにも見透かされてしまいます。
作業療法に興味がなく、資格取得後まで常に勉強し続ける気力がわかないというような人は辞めておきましょう。
人と関わることが苦手/他人に興味がない人
作業療法士の仕事は患者さんの評価・考察・治療です。
患者さんや同僚とのコミュニケーションは必須になりますし、何よりもまずは患者さんに興味を持つことが大切になります。
全く他人に興味がない、人と関わるのが苦手という人は適切な評価や考察をするのは難しいでしょう。
そういった人は作業療法士には向いていません。
作業療法士になるには?
作業療法士として働くためには、国家資格である「作業療法士」の資格が必要になります。
国家試験を受験するためには、文部科学大臣または厚生労働大臣が指定した養成施設で3年以上学ばなくてはなりません。
養成施設には、4年制大学、3年制の短大、3年制または4年制の専門学校があります。
作業療法士試験の合格率は80%と高い部類に入りますが、とはいえかなりハードな勉強が必要になります。
筆者の学生時代では国家試験の1か月前は皆最低でも1日10時間以上は勉強していました。
また、勉強だけでなく実習やレポートの作成等で、かなり忙しい学生時代を送る事になると思います。
(筆者の同期の中には、病院などの外部実習中には寝不足になりすぎて病院のトイレでこっそり寝ていた人や、中々トイレに行けず膀胱炎になった人がいました。)
作業療法士の将来性
高齢化社会である日本では、作業療法士の仕事は今後もなくならないといえます。
ただ、分野ごとに需要よりも供給が多く、臨んだ分野で必ずしも働けるとは限りません。
現在作業療法士の数が足りないと言われる分野は介護老人施設や発達障害領域です。
多くの作業療法士は病院で身体障害領域で働いており、施設などの地域へ出ている作業療法士はまだまだ少ないです。
自分の希望する分野につくためには、日々作業療法についての勉強が不可欠です。
作業療法士の年収
作業療法士の年収は「地域」「就職する施設」によって様々です。
一概には言えませんが、一般的に「都会は高く田舎は低い」「大きな病院は高く個人病院は低い」傾向にあります。
平均年収は360万円ほどであり、仕事がハードな割にそこまで高くありません。
作業療法士の仕事の平均年収は約361万円。日本の平均年収と比較すると低い傾向にあります。
情報元:求人ボックス
月給で換算すると30万円、初任給は22万円程度が相場のようで、アルバイト・パートや派遣社員では平均時給がそれぞれ1,238円、1,400円となっています。
作業療法士でキャリアアップをしたい方へ
作業療法士は国家資格なので全国どこでも働けるのが最大の強みです。
また、患者さんから感謝の言葉をもらえたり、笑顔が見られたりする時の喜びは大きいものです。
しかしそれはそれとして、勉強し続けるのが必須であり、人の人生を左右ほどの責任のある仕事なら、それに見合った給料も欲しいものです。
給料の低さで悩んでいる人は、思い切って大きな病院に転職してみましょう。
個人病院で給料が上がるのを待っているなら、ボーナスや昇給程度がしっかり整っている大病院に移動するだけでグンと年収アップが狙えます。
作業療法士は人の役に立てる素晴らしいお仕事。
「仕事は好きだけど年収が…」というような方は、逆に言うと年収さえ上がれば仕事に対するやる気も上がりますし、好循環が生まれます。
作業療法士をやめたい人へ
作業療法士の仕事は、体力が必要で毎日くたくたになってしまいますよね。
また、患者さん・患者さんの家族・先輩・上司と関わる人が多く、精神的に疲れてしまうことも多い職です。
退職したいけど、「上司に何を言われるかわからない」「引き留められたときに断る自信がない」「そもそも上司に辞めるのを相談するのが怖い」そう思う人もいますよね。
作業療法士にはクセのある人も多く、退職を希望しただけで退職日までずっとねちねち嫌味を言われた、患者さんをあまり回してもらえなくなった、明らかに態度が冷たくなったという人もいます。
どうしても「自分で辞めると言い辛い」「さくっと辞めてしまいたい」という場合は退職代行サービスに頼るのも1つの手です。
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まとめ
作業療法士になるための勉強はかなりハードなもの。
国家試験に合格したら終わりというわけでもなく、就職してからも日々の勉強が求められます。
しかし患者さんに感謝されたときの喜びは格別です。
あなたのキャリアの参考になりましたら幸いです。
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